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第4話

「よ~し!みんな!」
「明日から夏休みだし、1日中部活の出来るゾ!」
最近の自動車部は、一般のお客から車検整備の依頼があり、
「これも、お前たちの経験やけん、ちゃんとやれよ!」

「ゆ~すけ、知っとるか?」「なんば?」
「俺たちがサ、車検の整備ばしよるやろが」
「この工賃やらの料金がどうなっとる知っとるか?」
「しらんくさ。俺には関係のなかけん」
「そうやろ~。先生たちの趣味に消えよるとゾ!」
「趣味てなんやぁ?」「いろいろくさ」

夏休み初日から、2台の整備が入ってきた。
「1年生は知らん事があろうけん、タイヤば外したり、下回りば
洗うたりして、先輩に終わったら報告ばするごつ!」
「くろ、俺たち毎日こればせないかんとやろか?」
「しょんなかくさ。先輩なんかもしよらしたろうけん」
「俺くさ。雲仙にツーリングに行く約束ばしたけん、いつか休みば
貰おうかて思うとると」

「お~い!そこの二人!」「ちょっとこっち来い!」
「井上先生の呼びよらすばい」
「何ですか?」
「俺の車にガソリンば入れて来てくれ!」
「はっ??」
車の免許はまだ取得出来る歳でもないが、部活で整備完了車を
移動させたり、走行試験をやったりするために、毎日運転は必要に
なっているので、運転技術は特に問題はない状態であった。
「先生、ガソリンって、何処で入れるとですか?」
「ガソリンはガソリンスタンドやろうもん!!」
「学校の外ですよ」
「当たり前たい!学校がガソリンスタンドを経営しとるなんて
聞いた事もなかゾ!」
「ばっってん、免許のなかですよ! まだ16ですけん」
「だけんなんや? スタンドの場所は知っとっど?」
「はい。国道沿いの、本村の交差点のところでしょう?」
「このカードで満タンにして来い!」
「はい・・・・・」

「くろ、お前運転しきろうが。俺は横に座っとくけん」
「俺は嫌ばい!」「ゆ~すけがせんね!」
「お前知っとるか!井上先生の車。あれゾ!」

無類のスポーツカー好きの井上先生の愛用車は、みんなが
憧れる、「フェアレディ・ゼット432」なのだ。
その他にも、「ホンダS800」も実習工場のピットに入って
いるのだ。

「じゃ、俺が運転する!」
「おい!これってノークラばい」 最近普及し始めた、いわゆる
オートマティック車だった。
「運転したことなかゾ!」「よかくさ。クラッチば踏まんだけやろ」
そんなこんなで、エンジン始動。心地良い振動が体に響き、いざ出発。
「くろ!!前の見えん!!」
車のノーズ部分が異様に長く、おまけにキャブレター部分がもっこりと
盛り上がっているのだ。
「適当に勘で運転しろ!」
「えぇっ・・・!」
「校門までの坂は、かなり急やろ。全然前の見えんやろ!!」
「俺が見てやるけん。ゆっくり行くとよか」

どうにか校門をクリアし、市道へ出たのである。
「おいおい!車のいっぱい通りよるゾ!」
「当たり前くさ!普通の道やもん!」
「お前、薄情やねぇ。少しは心配ばせんか!」
鮮やかな黄色の「フェアレディZ」が颯爽? と走り出したのである。

「今、何キロ出とる!」「35キロ」
「かっこ悪かし、無免許ってすぐばれるゾ!」
「よかくさ!ばってん、派出所の前はチョット緊張するね」
「そこば左に曲がったら、警察はおらんばい!」

「いらっしゃいませ!!」「オーライ!オーライ!」
「すっません!こんカードで満タンお願いします。有鉛ば」

「こら!!おまえターチュンんげの弟のゆーすけやろ!!」
「あっ!先輩! 先生のガソリンば入れて来い!って言わしたけん」
「お前、何処もぶつけとらんめねぇ?」
「取りあえずは」

さすがに車好きが集まるガソリンスタンドである。
みんなが寄ってきて、いろいろ聞かれるが、何をどう言ったらいいのか
しどろもどろであった。「すんまっしぇ~ん。ひとん車ですけん
なぁ~も知らんとですよ」

やっとの思いで学校に戻り、先生にキーを渡し、「行ってきました!」
「おう!」「洗ろうとって!」
「はぁ?」
「くろ!!頼んだばい」「俺の仕事は終わり!」
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